SSDのデータを完全に消去する方法!仕組みやHDDとの違いも解説
SSDのデータを完全に消去する方法!

SSDのデータを適切に消去するにはどうすれば良いのか、気になりますよね。SSDは高性能なデータ保存装置として注目され、HDDの代わりに搭載されているパソコンも増えてきました。ただ、SSDの仕組みが特殊であるため、パソコンの画面上でデータを削除したり、HDDのように上書きで消去するだけでは、データを完全に消し去ることはできません。記事内では、SSDのデータを完全に消去するための3つの方法についてご紹介していきます。住所やカードなどのプライベート情報、顧客データや社内の機密情報を漏洩させないよう、ぜひ参考にしてみてください。

 

SSDとは

まずはSSDについて、その特徴やHDDとの違いを確認しましょう。

SSDはデータ保存装置

SSDはSolidStateDriveの略で、データを保存できる装置です。

データはメモリーチップに保存されるため、故障リスクが低い、データの読み書きが速い、音が静か、小さく軽い、などの特徴があります。普及が進み、最近ではSSD搭載のノートパソコンが店頭に並ぶことも多くなりました。

HDDとの違い

HDDはHardDiskDriveの略で、SSDが登場するまでは、一般的なデータ保存装置としてパソコンやサーバーで利用されてきました。SSDがデータをメモリーチップに保存するのに対して、HDDでは高回転するディスクに保存します。そのため音がうるさかったり、衝撃に弱い、読み込みが遅いなどのデメリットがありました。HDDのデメリットを解決したのがSDDです。静かで、衝撃に強く、読み込み速度が高速になりました。

ただ、便利な装置として登場したSSDではありますが、HDDより仕組みが複雑になったことで、「データ消去」の際は手間がかかるようになります。

 

SSDのデータを消去する目的

SSDのデータを消去する理由としては、大きく以下の2つに分かれます。

プライバシーの保護

1つ目は、個人でSSD搭載の機器を使用しているケースです。自分の名前、生年月日、住所、クレジットカード情報、ネット銀行やその他サービスのパスワードなど、パソコンを長く使っていれば、個人的な情報が大量に保存されているはずです。それらの情報が漏れてしまうと、闇業者などに情報売買、クレジットカードの悪用、SNSの乗っ取りなど、様々なリスクに晒されてしまいます。しっかりと対策をしなければなりません。

データ漏洩の防止

2つ目は、会社などでパソコンを利用している場合です。会社のパソコンには、顧客情報、メール、社内の機密情報などの情報が詰まっていますよね。それらの情報が漏洩してしまうと、会社やお客さんに迷惑がかかることはもちろん、契約違反となれば損害賠償を請求されてしまうリスクも発生します。事件にも発展しかねないケースですから、なんとしても避けたいところですよね。

 

SSDの消去が必要になる場合

写真の消去やいらなくなったワード・エクセル資料の消去など、普段からデータの削除はされているかと思います。ですが、画面上見えなくなったとしても、パソコンの中から完全に消えている訳ではありません。SSDに記録として残っており、専用の機器を使えば簡単に復元できてしまうのです。以下のような場合には、画面上だけでなく、SSDからも完全に消去しなくてはなりません。

<SSDから完全に消去すべきタイミング>

  • 再販売・・・いらなくなったパソコンを転売するとき
  • 譲渡・・・使わなくなったパソコンを誰かにあげるとき
  • 退職時・・・使っていたパソコンを会社に返却するとき

 

 

一般的なデータ消去の方法ではSSDのデータを消去するには不十分

パソコン内のデータを消去する方法はいくつかありますが、HDDのデータ消去として知られている以下の方法ではSSDでは通用しないので、確認しておきましょう。

 

  • フォーマット(初期化)・・・画面上では消えたように見えるが、SSDには残っているため、専用のツールを使えば簡単に復元可能
  • 物理破壊・・・SSDのデータは物理的に非常に細かく保存されているため、従来のHDD向けの破壊機器(クラッシャー)などでは完全には破壊できない
  • 磁気破壊による消去・・・SSDは磁気を利用したデータ保存をしていないため磁気での破壊は効果がない
  • ファイル消去・・・フォーマット同様、画面上では消えているが、SSD内のの非表示領域のデータまでは削除されない
  • データの上書き・・・画面に表示されない領域のデータまで上書きすれば有効だが、フリーズロック機能(後述)があるため失敗することがある
  • 暗号消去・・・データを暗号化して保存しているので、見えないようにしているだけで削除はしていない

 

SSD消去の問題点

では、実際にどのように消去すれば良いのか。前提として、SSDがHDDよりも特殊な仕組みであることを知っておく必要があります。

ウェアレベリング(データの自動複製機能)

SSDには、保存されたデータを自動で複製してくれるウェアレベリング機能があります。つまり、データを消去したとしても、実は他の場所で複製されたデータが残ったままになるのです。HDDでデータ消去する場合、1つのデータに対して消去用のデータを上書きすることでデータの削除を行います。SSDでは同じように上書き処理をしても、ウェアレベリング機能ですでにコピーされたデータが残っているため、イタチごっこのごとく完全に消去ができないのです。

フリーズロック(消去処理の防止機能)

それなら、ウェアレベリング機能を止めてから上書きすれば良いのでは、と思うかもしれませんね。実はSSDには、データを完全消去するための「消去コマンド」と呼ばれる機能があります。コマンドを実行すれば、メモリ全てに消去用データが上書きされ、全てのデータを完全に削除できるのです。ですが、ここでも問題があります。SSDでは、消去コマンドを使わせないためのコマンドが、パソコンの起動と同時に作動するようになっているのです(フリーズロック機能)。パソコンの安全を守るため、データの完全な削除は簡単にはできないようになっているのです。

 

 

SSDのデータを完全に消去する方法

データ消去のための前提知識を確認し、準備は整いましたね。SSDのデータを完全に消去する方法は以下の3つです。

専用のクラッシャーで破壊

1つ目の方法は、SSDを物理的に破壊する方法です。SSD専用のクラッシャーを利用します。HDDを破壊するクラッシャーもありますが、それではSSDを完全に破壊することができませんので注意が必要です。より細かく、2mm角以下に裁断できるよう、専用のSSDを利用しましょう。ただし、今後の技術進化により、2mm角以下に裁断しても完全破壊には至らないような、より精密なSSDが登場すれば、物理破壊では追いつかない可能性もあります。より破壊の精度をあげるためには、以下2つの方法と組み合わせるのが効果的と言えそうです。

データの上書きでデータを消去

2つ目は、市販のデータ消去ソフト、無料配布のデータ消去ツール、業者のディスク管理ツールなどを利用する方法です。ウェアレベリング(データの拡散保存機能)を無効化し、データに対して消去に必要な回数の上書き処理をおこない、パソコン画面には表示されない領域のデータを含めて消去していきます。とはいえ、消去の手順はツールで表示されるメニュー画面を見ながらクリックしていくだけなので、作業自体は簡単です。この方法で注意すべきなのは、自分1人だけでもできてしまうため、利用するソフト・ツールに信頼性があるかを慎重に判断する必要があることです。

 

SSD内蔵のコマンドでデータ消去

3つ目は、 SSD内部にある機能「Secure Erace」を利用する方法です。データの不正な消去を防止するための「フリーズロック」を解除し、SSDメモリに無意味なデータを書き込み、メモリ内のデータを全て消去します。こちらの方法のカギとなるのが、「フリーズロック」を解除できるかどうか。自身のパソコンがフリーズロックされているかを確認することはできますが、多くのパソコンは解除ができない設定になっているため、メーカーのツールや外部ツールを利用する必要があります。

SSDのデータ消去は誰に頼めば良いのか

データの消去方法まで確認しました。自力で調べながら作業を進めることもできますが、自分でちゃんとできるか不安な場合は専門の業者に頼むのが良いでしょう。

自分でやる

SSD専用のデータ消去ツールは有料で市販されているのもありますし、ネット上で無料で配布されているものもあります。また、SSDの消去コマンドの利用についても、パソコンのメーカーが専用の解説ページを用意していることがあります。調べることが苦にならない方、費用を最小限に抑えたい方は、一度試してみるのも良いでしょう。

業者でやる

確実に消去できるか不安、消去すべきパソコンが多いなどの場合は、データ消去専門の業者に任せましょう。業者であれば、いろんな規格のパソコンに対応できますし、自分達で専用の消去ソフトを開発しているケースもあります。また、ツールでの消去に加え、クラッシャーをもちいた物理的な破壊にも対応しています。自分のパソコンの場合はどうなのか、具体的な方法や費用感など、気になる場合は一度問い合わせしてみてください。

 

まとめ

SSDのデータ消去の方法についてまとめます。

  • SSDとは、HDDに代わる高性能なデータ保存装置。
  • SSDのデータ消去では、ウェアレベリング、フローズロックが壁になる
  • SSDのデータ消去には、クラッシャーでの消去、専用ツールでの消去、SSD内蔵のコマンドでの消去がある

SSDは、高性能で使いやすい反面、データを消去するにはひと手間かかります。

業者に依頼するのが確実性は増しますが、作業工程を自身でもチェックできるよう、今回ご紹介した知識をおさせておいてくださいね。

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