HDDプラッター故障の基礎知識!正しい知識で安全に扱うことがポイント!

HDDのデータ復旧は、プラッターに保存されたデータを読込むことです。ヘッドやモーターは壊れても交換可能ですが、プラッターは重要データが保存されており、交換や修理はでませんよね。データ復旧では、プラッターを傷つけずに取り出すことが一番重要です。ここでは、HDDプラッター故障の基礎知識について解説します。

そもそもHDDが故障する原因とは?

HDDが故障する原因には、主に3つのことが挙げられます。まずは、強い衝撃や通電不良です。HDDに強い衝撃が加わると、プラッターと磁気ヘッドが接触して故障することがあります。また、電気ショートや給電停止など、電気的負荷が加わることも故障に繋がります。HDD内部の部品損傷で正常動作しなくなるなど、物理的故障が起きた場合には、修理で正常な状態に戻すことは難しいです。こうした状態を物理障害と言います。また、長期使用による経年劣化も挙げられます。HDDには、プラッター、磁気ヘッド、スピンドルモーター、アーム、アクチュエータなど、様々な部品によって作られています。HDDの部品にも寿命があり、長期使用することで摩耗して正常動作しなくなります。特に、不良セクターの症状がHDD故障ではよくみられます。プラッターの表面劣化、正常動作しない磁気ヘッドがプラッターに接触して傷を付けるなど、プラッター上の一部が読み書き不可状態になってしまいます。HDDはいつか故障するものなので、故障時を想定して使用するようにしましょう。さらに、不適切な環境での使用も故障を招きます。HDDには動作保証環境があり、常に適正な環境での使用が大切です。しかし、高温の場所、低い場所、湿度が高い場所などで使用していると、HDD内部の部品が物理障害生じることがあります。また、HDDは密閉されていますが、ゴミの侵入を防げる訳ではないので、ホコリの多い場所や喫煙環境で使用は避けましょう。他にも、これらの物理障害は発生しておらず、HDDは正常で何かの理由でデータ破損して、保存データが認識できないこともあります。これを論理障害といい、誤って削除したり初期化したりした状態も、論理障害に該当します。

HDDのプラッターとは?

HDDの中で、データ記録する円盤をプラッターといいます。HDDは複数枚のプラッターから構成されおり、プラッターの両面または片面にデータ記録します。表面に少しでも凹凸があると故障に繋がるので、高速回転でも振動抑制できる高剛性や耐衝撃性を持っています。プラッターの材質には、アルミニウム、ガラス、セラミックなどがあります。プラッターの素材自体は非磁性なのですが、表面に記録用の磁性体が塗られており、データ記録できるようになっています。プラッターの固定位置がずれると、アラインメントのずれ生じて、データ読み出しできなくなります。HDD内のプラッター枚数が増えれば、その分、多くデータ記録できるようになりますが、環境温度変化や長期使用などの影響で、流体軸受けで使用されるオイル劣化や、玉軸受で使用されるボール摩耗が発生します。軸受の劣化は、プラッター回転動作が不安定になり、HDD故障に繋がる場合がよくあります。

HDDのプラッター故障症状とは?

正常と不良のプラッターの違い

HDDでは、大事なデータはプラッターに保存されます。HDDデータ復旧は、プラッターに保存されたデータを読込むことです。ヘッドやモーターは壊れたら交換することができますが、プラッターは大事なデータが保存されているパーツなので、交換することはできません。また、修理もできないパーツです。なので、プラッターを傷つけずにデータを取り出すことが一番重要になってきます。正常なプラッターというのは、ディスクが綺麗でエラーがありません。もし、読込エラーや遅延が起こっても、代替セクターの利用でデータ移行し、その後、状態の悪いセクターを使用しないようにします。こうした延命処置を行いながら、正常データの読み書きを行います。一方、不良なプラッターになると、プラッターに読込や書き込み時にエラー発生するようになり、それをセクター不良といいます。なので、コピーする際に止まるようなことがあれば、セクター不良が疑われます。また、HDDを落とした場合でなくても、ヘッドとプラッターの接触でプラッターに傷付くと、大体の場合は復旧することができません。

HDDのプラッター故障症状

  • CRC(冗長性)エラー

パソコンでHDDUSBにデータを保存しようとした際に、「データエラーです」というメッセージが表示されることがあります。CRCエラー発生の場合、HDDにアクセスできなくなったり、ファイルがコピーできなくなったり、色々な不具合が生じてきます。CRCというのは、「Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査」の略語で、データ送信・記録・コピーが実行されたか調べる仕組みのことです。CRCでは、データ処理チェックをどのようにしているかというと、まず、データ送信や記録の前に検査用値を算出します。次に、データ受信や読み出しが行われる際に、同じ手順で検査用値を算出します。両者の値が一致すれば誤りは無いと判断され、一致しなければデータの一部が欠落または変更されたと判断されます。なので「データエラーです」のメッセージは、データ送信・記録・コピーの前後で、調査用値の一致がなかったことを通知しています。ここで誤解しやすいのが、CRCは誤りを検出する仕組みであって、正しい値へ訂正する機能ではないことです。パソコンには自動修復機能があって、不具合があれば修復を試みることが可能です。この自動修復機能で対処できない場合に、CRCエラーとなることを覚えておきましょう。

CRCエラーの原因

CRCエラーの原因には、主に、衝撃による故障、磁気エラー、この2つが挙げられます。衝撃による故障では、HDDというのは非常に精密機械なので、内部を守るために密閉されていますが、衝撃に弱く経年劣化などで磁気ヘッド部分が損傷します。本来、磁気ヘッド部分とデータ読み書きの円盤型プラッターは、お互いが触れないように少し隙間があります。しかし、磁気ヘッド損傷でお互いが触れると、プラッターが傷付いて正常にデータ読み書きできない状態に陥るのです。また、磁気エラーでは、プラッターが傷付いていなくても、経年劣化やホコリの付着で磁気エラーが生じます。磁気エラーの際も、データ読み書きは正常に行われません。レジストリ破壊、HDD破損、プログラムインストール失敗なども、磁気エラー原因に繋がります。

  • スクラッチ

通常のHDDは、機器電源を入れるとHDD内部で磁気ヘッドが磁気ディスク上を浮遊し、データ読み書きを行っています。しかし、経年劣化や落下などの衝撃で、磁気ヘッドとディスクが接触すると、ディスクが傷付く場合があります。これが、スクラッチ障害です。何度も通電を試すと、ディスク上の傷が深くなってデータ取り出しが不可能になる場合もあります。

スクラッチの原因

HDD内部は非常に精密な構成なので、磁気ディスクの回転スピードは、速いと時速200㎞超えの速度で回転しています。HDD内部は、こうして高速回転しながら磁気ヘッドが磁気ディスク上を僅かな隙間を空けて浮遊し、データ読み書きを行っています。この隙間は、ナノメートル単位であり、髪の毛1/40程度の微小数値です。だからこそ、少しの衝撃やゴミが付着するだけで、浮遊して動作する磁気ヘッドが磁気ディスクを擦り、引っかき傷=スクラッチが発生するのです。

  • 指紋などの付着

これも当たり前のことですが、HDDの記録面を素手で触ってしまうことも良くありません。その理由は、指紋が付いたことによって、データが書き込めなくなるからでし。指紋が付いていることに気付いていない場合は、注意して見てみましょう。データ書き込みの際にエラーになって困る、といったような相談はHDDでは多いのですが、その原因が指紋やホコリということも結構あります。指紋がベタベタ付いていて完全に汚れていれば、機械がエラーを出してくれますが、問題はエラーにならない少し汚れている状態で、記録できてしまった時です。少し汚れている状態でも書き込みできれば、レコーダーは書き込みに成功したと判断して、エラーなく作業を終えます。しかし、本当はハッキリ記録されていないにも関わらず、何事もなかったように書き込みが完了してしまうのです。ですが、後日、データを見た際に、画面にモザイクができたり、読み取れていないことがあったりします。さらに、記録が薄い部分に指紋や傷が付くと、特にそういった状態になります。

プラッター損傷は物理障害の中で最も難しい障害!

プラッターは、データ保存されている物理的な部品です。ここが損傷すると、他の部品を交換したところで復旧はできないのです。電源を入れた際に、「カチカチ」「シィーッ」と擦れる音がする場合は、プラッター表面で目に見えの損傷が確認されることがあり、これは復旧が難しい状況といえます。ただし、大容量モデルの場合は、ディスク認識できれば残りのメディアからデータ復元できることもあります。障害の発生しているプラッターは、領域のみ除外するように制御し、正常な部分のデータ領域を読み込みます。

プラッター損傷により、読み書きができなくなった領域を、不良セクターといいます。データは、セクターの最小ブロック単位で保存され、読み書きのエラーが発生すると代替えセクターを用意してデータ移行し、エラー領域は今後使用しないように記憶します。CRCエラーが代表的な例になりますが、一部の障害箇所のデータを除いて、データを別のHDDへ移すことで復旧を可能にします。この作業は、専用ツールでないできない専門作業で、復旧経験と実績が結果に大きく影響します。

まとめ

ここでは、HDDプラッター故障の基礎知識について解説してきましたが、いかがでしたか?プラッター損傷は、通電時の音で判断可能な場合があり、かなり擦る音がした場合には、スクラッチとして表面に見て分かる傷があります。この症状は、ほぼお手上げの状態なので、クリーニングをしても直る可能性は低いです。HDDのプラッターの状態が悪化してしまうと、取り返しがつかなくなってしまうので、その前に、専門家に相談するようにしましょう。

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