サーバを処分するにはいくらかかるのだろう、と気になりますよね。サーバの処分には撤去・運搬・データ消去・分解・廃棄と多くの手順が必要になります。処分作業の全部を業者に依頼することもあるでしょう。本記事では、サーバ処分の方法の種類や各業者に依頼した際の費用、業者の選び方までをご紹介しています。サーバを処分する際の確認事項として、ぜひ参考にしてみてください。
サーバ処分の方法は3種類
不用になったサーバは法律上、事業用の廃棄物として扱われます。ですが、実際には廃棄だけでなく再利用されるケースもあるのです。そのため、サーバの処分方法は、「廃棄」「リサイクル」「買取」の3つから選ぶことになります。
産業廃棄物として処分
サーバの最も基本的な処分方法は、産業廃棄物としての処分です。事業から出たゴミは、「産業廃棄物」として法律に従って適切に廃棄することが企業の義務となっているのです。もちろん企業が全部自分達で廃棄を実施する必要はなく、大抵は産業廃棄物処理業者に依頼することになります。その際、業者が管轄の自治体から営業許可を得ているかを確認してから依頼するようにしましょう。
リサイクル業者が回収
廃棄以外の方法もあります。リサイクルです。パソコン関連機器のリサイクルを専門にしている業者があるので、そこに依頼します。サーバは、鉄・金・銀・銅・プラスチック・アルミ・ガラスなど、それぞれのパーツに分解できます。それらを資源として再利用する業者です。中には99%リサイクルできるケースもあるようで、環境に優しい処分方法と言えますね。
買取業者が買取
廃棄以外の方法として、買取業者への売却も可能です。不要なサーバといえども市場価値のある機器が中には存在しています。買取業者が査定してくれるので、まだ使えるものであれば、売却益を得られる可能性もあるのです。ただし、回収されたサーバは再販される可能性が高いので、企業情報が漏洩しないよう、データの消去を徹底する必要があります。
不要なサーバを処分する際の費用は?
処分方法を理解したら、それぞれの処分費用を確認していきます。
産業廃棄物処理業者へ依頼する際の費用
産業廃棄物として処理する際は、サーバ1台3,000円〜が目安になります。ですが、民間業者なので、費用にバラツキがあります。不当に高額な支払いをしないよう、複数業者に相見積もりを取るようにしましょう。
リサイクル業者から回収してもらう際の費用
リサイクル業者へ回収を依頼する際の費用は、基本的には0円(無料)です。なぜ無料かというと、分解されたパソコン機器の素材は、資源としてそれぞれ売却すれば収益を得られるからです。処分側は無料で処分でき、リサイクルなので環境にも良い、回収業者も収益が得られるため、三方良しの方法と言えるかもしれません。ただし、全部の機器がリサイクル可能ではないので、中には回収できない場合もありますし、回収機器が大量にあれば運搬費用を請求されるケースもあります。
買取業者が査定してくれる際の費用
買取業者へ依頼する場合は、査定金額を受け取れる可能性があります。こちらも費用がかからない理由としては、機器の再販をして収益を得る仕組みがあるからです。ただし、再販の価値がないと査定されれば買取は難しいですし、リサイクル業者の場合と同様機器が大量にあれば運搬費用がかかる場合もあります。
それぞれの方法に良い・悪いはないので、自社の環境に合わせて選択したり、それぞれ見積もりを取って検討するのが良いでしょう。
サーバラックの廃棄費用
サーバを処分する際は、同時にサーバラックも処分しなければなりません。サーバラックとは、サーバを格納する収納棚のようなものです。オフィススペースの活用、メンテナンス一括化、鍵付きでセキュリティUP、粉塵故障を防ぐ、などの目的で利用されます。サーバラックも処分の方法はサーバと同様で、「産業廃棄物」「リサイクル」「買取」の3つです。費用も産業廃棄物なら1台3,000円、リサイクル業者・買取業者なら費用0円で処分ができるでしょう。ただし、台数などによっては運搬費用を請求されたり、査定額と相殺されるケースもあります。
ラックの撤去(アンラック)は自分たちで実施する
サーバラックの回収は各業者がおこなってくれますが、ラックを撤去する作業(アンラック作業)は自分達でおこなわなければなりません。具体的には、サーバのラックからの撤去(解錠やサーバの取り出し)や配線の撤去などです。他のサーバを傷つけないよう慎重に取り外したり、結露で機器が故障しないよう低温・低湿度を保ったまま作業するなど、神経がすり減る作業になることが予想されます。業者の中には追加費用でラックの撤去作業もしてくれる場合もありますので、依頼する際はアンラック作業の有無も相談してみましょう。
【注意】データ消去には細心の注意を
サーバを処分する際に注意しなければならないのが、サーバ内のデータ消去です。サーバには社内の業務情報・機密情報が含まれています。サーバを廃棄するにせよ回収してもらうにせよ、復元できないよう完全にデータ消去しましょう。具体的には下記の2つの方法があります。
物理破壊
サーバ内にあるデータ保存機能の部品を直接叩き割る方法です。具体的には、HDD内にある円盤状ディスクを、ハンマーなどで破砕・粉砕・裁断して、物体ごと破壊してしまいます。物がないので、復元ツールの使いようがありません。自分達で実施すれば費用はかかりませんが、破壊する際にディスクの破片が飛び散るなどの危険性があったり、ディスクが複数格納されている場合は見落としなどで破壊が不十分になるリスクがあります。
ソフトウェア消去
2つ目の方法は、専用のソフトウェアを利用してデータを消去する方法です。具体的には、ソフトがHDDのデータ保存領域に対して意味不明なデータを大量に送り込み、元データの上書きをしていきます。全領域に複数回上書きすると、元のデータを読み込むことが完全に不可能になる、という仕組みです。市販のソフトウェアでも米国国防省が推奨している精度の高い消去技術を利用できるので、ソフトウェアの利用は、国内の官公庁でも実施されているデータ消去の手段でもあります。
自社内で行う場合は法人用のソフトウェアが10万円前後で市販されていますので、それを利用することになるでしょう。業者に依頼する場合は1台3,000円〜が目安です。業者に依頼する場合、のちのちにトラブルの原因とならないよう、作業証明書を発行してもらうのがおすすめです。証明書の料金は、追加で1台500円〜1,000円になっています。
業者に依頼する場合、産廃業者はパソコン機器の処分を専門でおこなっている訳ではないので、自社で完全にデータの消去をしてから依頼するのが良いでしょう。リサイクル業者や買取業者であれば、データ消去のノウハウを持っていますから、不安がある場合はデータ消去も含めた一括作業の依頼をするのがおすすめです。
サーバ処分業者の選び方
サーバ処理の方法が3種類ある上に、業者も多数あるので、どこに依頼すれば良いか悩んでしまうかもしれません。サーバ処理業者を正しく選べるよう、5つの確認項目をご紹介します。
無料に惑わされない
業者側も顧客を獲得するために、「無料」をうたって宣伝をおこなっています。費用負担が小さいにこしたことはありませんが、費用だけで判断しないよう気をつけましょう。特にデータ消去については、無料で実施する分、消去作業の質が落ちるリスクも考えられます。
許可を取っているか
廃棄業者に依頼する場合、リサイクル業者・買取業者が別の配送業者を派遣した場合、許可を取っているかを確認しましょう。なぜなら、産業廃棄物を扱う業者は自治体の許可を取る義務があるからです。無許可業者に依頼した場合、依頼した企業側が責任を取らされることも考えられますので、大切な確認作業になります。業者のホームページなどで確認できますよ。
契約を事前に結ぶ
処分内容について、書面での契約を結びましょう。産業廃棄物の処理を委託する場合、その旨の契約を結ぶ義務が法律で定められています。ちなみに違反すると3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金となります。厳密には口約束でも良いのですが、書面の方が安心ですよね。
データ消去の方法を確認
サーバ処分の際は、データ消去に細心の注意を払いましょう。情報漏洩の原因にもなりかねないからです。実際に、2019年にデータ消去の不備が原因で情報漏洩が発覚し、4000万円の損害賠償となった事件もあるほどです。データ消去を委託された業者の従業員が、未処理のHDDをそのまま転売したのがきっかけだそうです。データ消去の証明書を発行してもらうなどして、記録をしっかりと残しておきましょう。
撤去・運搬してくれるか
サーバの処分は撤去・運搬が最も手間のかかる作業です。依頼する業者の見積もりにどこまでの作業が含まれているのか確認しましょう。複雑な配線処理や他の機器を傷つけないための慎重な作業も必要になります。専門知識をもった担当者が社内にいない会社さんもあると思いますので、依頼業者の作業範囲はどこまでなのか、事前に確認しましょう。
まとめ
サーバ処分にかかる費用についてまとめます。
- サーバ処分の方法は「産業廃棄物」「リサイクル」「買取」の3種類
- サーバ自体の処分の費用は、産業廃棄物:3,000円〜、リサイクル:0円、買取:査定額
- サーバラックの処分費用は、産業廃棄物:3,000円〜、リサイクル:0円、買取:0円
- サーバを処理する際は、復元できないようデータの完全消去を実施して機密情報の漏洩防止
サーバの処分は作業が多く手間もかかります。無料で訪問買取など一見負担がないように思えるサービスを提供している業者もありますが、価格の適正、データ消去の確実性などよく確認しましょう。今回ご紹介した知識をぜひ処分の際の参考にしてくださいね。