私達の生活に必要不可欠なHDD!HDDの各パーツと基本構造について学ぼう!

私達の日常生活に欠かせないHDDですが、HDD機器をお使いの方の中には「HDDって何?」と疑問に思っている方も多いと思います。実際、HDDの構造を知っている方は少ないのが現状です。ここでは、HDDの各パーツと基本構造について解説したいと思います。

HDDとは

HDDというのは、Hard Disk Drives(ハードディスクドライブ)の略です。写真や動画などデータ保存できる大容量記憶装置です。OSやアプリケーションの保存にも活用されています。HDDは、パソコンだけに使用されているものではなく、家庭用ゲーム機器、HDDレコーダーなどにも使用されています。日常生活においてもHDDは目にする機会が多いのです。特徴には、大容量データを保存できる点が挙げられます。HDD容量がいっぱいあると、より多くのデータ保存ができます。HDDには、大きさや接続形式の違いなど、幾つか種類があります。現在、主流のHDDは、デスクトップ用SATA接続3.5インチ、ノートパソコン用SATA接続2.5インチになっています。従来型であるIDEに比べて、SATAは高速でデータ転送できたり、接続ケーブルもコンパクトであったり、メリットが大きいです。

HDDの取り扱いですが、HDDは手荒に取り扱うと簡単に壊れてしまいます。扱う際のポイントに関しては、衝撃や振動を与えない、電源を入れた状態で本体を動かさない、正規でない方法で電源を切らない、急激な温度変化のある場所や低い場所に置かない、磁気を帯びたものを近づけないなど、動作中に気をつけることで、データを失うリスクを減らすことができます。また、HDDは消耗品で劣化するため、いずれは故障します。約3〜5年経過すると、一見、異常無く見えても突然故障する可能性があることも覚えておきましょう。

HDDの基本構造について

HDDというのは、非常に精密構造となっており、ホコリやゴミが付いただけで故障してしまう、デリケートな機器です。そのため、ホコリやゴミが侵入できないよう、気密構造となっており、交換する場合には綺麗な環境が整っているクリーンルームで行う必要があります。HDDの中央部にあるプラッタがデータ保存されている場所で、機械によって1枚の場合や複数枚の場合があります。また、プラッタ両面には、プラッタ上を内周から外周まで移動するアクチュエーターがあって、先端にデータの読み込み・書き込みを行う磁気ヘッドが付いています。また、HDD裏面には、プリント基板が付いています。この基盤に搭載されているHDDコントローラーによって、磁気ディスク制御が行われています。他にも、キャッシュメモリ、スピンドリルモーター、モータードライバが搭載されている場合もあります。

HDDの役割について

基本的なHDDの役割には、データやプログラムなどの保存です。HDDの中には、パソコン機能に欠かせないものも保存されています。なので、万が一、不具合の発生や故障の場合には、パソコンが使用不能になることがあります。また、メモリ容量不足の場合には、仮想メモリを作れたり、メモリ作業領域を増やしたりすることも可能です。ただ、HDDはメモリより作業速度が遅いので、頻繁に利用しているとパソコン動作が鈍ることがあります。HDD容量は、現在は非常に大きいものもあり、様々なデータを一括保存が可能になっています。そのため、情報漏洩防止のために、HDDの廃棄では適切な方法を選択することが必要です。物理破壊などの方法もありますが、安全・安心に廃棄するには、プロの専門業者を利用するのが一番でしょう。

HDDを構成する主なパーツについて

プラッタ(磁気ディスク)

プラッタとは、データ記録する部分になります。HDDは、データ記録するツールですが、データをどこに記録しているかというと、プラッタに記録しています。プラッタは、円盤の形をしており、別名をディスクともいわれています。素材は、アルミニウム、ガラス、セラミックなどの硬い素材から成っており、そこからハードディスクと名称がついています。

プラッタ本体は、レコードのような形をしており、らせん状にデータを刻むレコードとは異なり、HDDの場合は幾層にも重なった形をしており、表面上に磁性体が塗られ、回転しながら磁性体にデータ記録を行います。

また、プラッタ枚数が増えると容量も増えるのが特徴です。プラッタは、一枚もしくは複数枚のレコードが重なったような形で、プラッタ両面または片面にデータ記録される仕組みです。HDD内にあるプラッタは、枚数が増える程HDD容量も増えます。現在、1TB1000GB)以上の大容量HDDも販売されていますが、大容量HDDはプラッタ枚数が増え過ぎて空気抵抗を受けやすくなります。なので、プラッタ同士の間にヘリウム充填して空気抵抗を減らして、故障防止のHDDなども登場しています。

また、プラッタはとってもデリケートな部品でもあります。空気抵抗でも故障原因になる程、デリケートに作られています。市販されている3.5インチのHDDでは、プラッタ外周速度が約時速100㎞、速いものでは約時速200km超えのものもあります。高速回転でデータ記録するプラッタ内部に、少しのホコリやゴミが混入しただけでもプラッタは壊れてしまいます。プラッタの物理的破損は、データ破損状態に繋がりますが、破損が軽度であればデータ復旧が可能です。

磁気ヘッド

磁気ヘッドとは、データの読み書きを行う小さな部品です。ヘッドは、プラッタにデータ読み書きする、レコードの針のような部品になります。アーム先端についていて、HDDのデータ読み書きを行う際、アームが動きながら電磁石の原理を利用してヘッドで読み書きが行われます。複数のプラッタがある場合は、プラッタ数に合わせてヘッド数も増えます。

また、ヘッドとプラッタを保護するためには、クリーンルームやPC-3000など、専用施設や機器が必要不可欠になります。磁性体が塗られたプラッタに読み書きを行うヘッドは、毎分数1000から1万回以上で高速回転しているプラッタに、約10ナノメートル(0.001㎜)しか離れていない位置で読み書きを行っています。なので、ヘッドはとてもデリケートな部品で、小さなホコリやゴミが入り込んだだけでヘッドクラッシュを引き起こします。HDD製造工場やデータ復旧現場では、クリーンルーム設備やPC-3000などの機器を利用し、微粒子や浮遊粒子の侵入を防ぎ、HDDを傷つけないように注意を払ってデータ読み出しを行っています。

磁気ヘッドに関するPC-3000というのは、内視鏡的役割を果たす新世代の解析マシンです。従来は、HDDの物理的損傷は、ヘッドやプラッタにゴミやホコリが入らないよう、専用設備内で修理を行う必要があり、修復料金も設備の良さに比例して高くなっていたのが現状です。しかし、現在は、PC-3000の登場によって、HDDを完全開封せずに修理できる内視鏡的な役割を果たす解析機のお陰で、比較的安価にハードディスクの修理を行えるようになっています。壊れた磁気ヘッド以外のヘッド部分からデータ読み出しが可能、PC-3000はヘッド負荷を変えて破損したヘッドからデータ抽出が可能など、今では多くのHDD修理業者がPC-3000を導入しています。

モーター

HDDというのは、スピンドルモーターとシークモーター、この2種類のモーターによって回転しています。スピンドルモーターは、プラッタを回転させるモーターです。ダイレクトドライブ方式によって、モーターで発生した力を直接伝えてプラッタを回しています。現在、主な回転数は4200540072001000015000rpmとなっています。このrpmRevolutionPer Minute)は1分間のプラッタ回転数で、15000rpmHDDであれば1分間に15000回プラッタが回転していることになります。シークモーターは、ヘッド付きのアームを動かすモーターで、2枚の磁石が出す磁力をコイルに伝えてモーターを動かします。コイルは、アームの端部分にあるロータリー・アクチュエーターに扇型に付いています。ヘッドが読み書きする際に、扇の曲線に沿ってアームが動きます。

ロータリー/アクチュエーター

ロータリー/アクチュエーターとは、アームを動かす最も重要な部品の1つです。ヘッドを動かすアームの根元にあって、シークモーターが生み出す磁力をアームに伝える駆動部分になります。データ読み書きを行う、ヘッド付きアームを動かすロータリー/アクチュエーターは、HDDにおいて最も重要な部品の1つであり、HDDが物理的に壊れた場合は、ロータリー・アクチュエーターの不具合が原因で損傷しています。しかし、全てのHDD故障がロータリー・アクチュエーターが原因という訳ではありません。直接的なHDDの物理損傷原因には、軸受けが関係しているケースも多いです。

軸受け

軸受けとは、HDDの縁の下の力持ち的な存在です。プラッタを回転させるスピンドルモーターの回転軸を支える部品です。昔は、玉軸受けといって、ボールベアリングが使われていましたが、現在は、流体軸受けが静音で長寿命になるため、多くのHDDで採用されています。ロータリー/アクチュエーターやプラッタと比較すると、外側からは目立ちにくいですが、軸受けの性能はロータリー/アクチュエーターが滑らかに動作するために重要なので、物理的にHDDが壊れる確率は、軸受け性能次第といっても過言ではありません。

ケース

ケースに関しては、一般の方が開けることは厳禁となっています。HDDは、プラッタにホコリやゴミなどの異物が少しでも付着すると、それが原因で故障になります。なので、プラッタやヘッドの周りというのは、厳重密封された状態でケースに収められており、ホコリやゴミの侵入を防いでいます。また、HDDケースに「開封後は保証対象外」という注意書きを見たことはありませんか?これはHDDをクリーンルームでない状態の場所で開けたことで、ケース内部にホコリやゴミが侵入するからで、一般の方がHDDのケースを開けることは厳禁になります。

まとめ

ここでは、HDDの各パーツと基本構造について解説してきましたが、いかがでしたか?HDDは各部品1つとっても複雑構造から成っており、故障が生じた場合には、一般の方が修理を行うのは不可能です。もし、HDDに異常を感じた際には、自己流で直そうとしてケースを開ければ、状態悪化を招く恐れがあります。なので、データ復旧やHDDの修理が必要な場合には、設備が整っている専門業者に依頼することをおすすめします。

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